写真集「ペルシア」印刷立ち会い


今月5日、6日、そして9日と3日間かけてペルシアの刷り出し立ち会いに、編集の土居さんと行ってきた。印刷所は、埼玉県、東武東上線の森林公園にある東京印書館の玉川工場で、北新宿にある私の家から1時間半の距離だ。プリンティング・ディレクター、高柳さんによる細密な印刷設計と全台調整により、これまでにない最高の成果が得られたと満足している。
これまで出版してきた私の写真集のうち、「サハラ」、「ナイル」、「メッカ巡礼」、「地球巡礼」など主要な8冊は、海外の出版社が版元になった国際出版で、印刷は香港やヨーロッパで行われてきた。香港の場合はその都度立ち合いに行ってはいたが、製版段階からPDと直にやりとりを重ねてゆく日本でのようなわけにはいかない。印刷用紙の選定も限られている。
日本での印刷立ち合いは、こちらのコンディションを考慮してくれて、昼間だけの印刷でやってくれるが、香港での印刷となると、印刷機が回りはじめれば24時間ぶっ続けで刷ってゆくため、3、4日間、仮眠を取るだけでふらふらでつきあわされる。そこそこの結果は出してはきたものの、印刷結果に100パーセント満足とはいかず、つねにフラストレーションがつきまとってきた。出版といえば共同出版が当たり前で、版元となる出版社に印刷管理を任せるのが常識の欧米の感覚からすれば、80パーセントの出来であれば良しとしたものでそれほどうるさく要求はしないし、クオリティーよりもコスト第一で、写真集印刷の多くが、より人件費の低い中国に移っているのが現状なのである。
ともかく「ペルシア」の仕上がりが待ち遠しい。

野町和嘉オフィシャルサイト